二回転半ドロップ
彼が思う普通が彼女にとっても普通とはかぎらない。
特別なことをしなくても、彼が普通だと思うことに徹してみれば、彼女にはそれが普通ではないこととして映るかもしれない。彼と彼女が思う普通。お互いにとってまったく普通ではない、それぞれの普通。
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それら作品は目新しいというよりも、普通に描かれ、つくられているように見えた。
けれども、しばらく眺めていると、どこか変に思えてきた。
きっとそれは、それぞれが繋がりを持たないまま、関係なくつくられながらも、同じこととして共存しているあり様が、そう思わせているに違いない。
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はじめに二回転半することだけ決めておく。
どこに着地するかはその時次第。ジャンプした場所に戻るかもしれないし、思いもよらない場所に着地するかもしれない。
それぞれのやり方で二回転半してみよ。
河田 政樹(美術作家)
トークイベント「心なきところにも働きがある」:11.23(土)17:00-
岡田裕子(美術家)× 河田政樹(美術作家)× 栗原一成(美術家、ゲルオルタナ代表)
小林丈人 Taketo KOBAYASHI
1981 東京都生まれ
2007 多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻油画研究領域修了
主な展覧会
2012 「なみゆくながら、着かず、離れず。」(アキバタマビ21/東京)
2011 「りょうたといっせいとたけと」(ゲルオルタナ /東京)
2010 「グルグルカクカク」(TURNER GALLERY /東京)
2009 「ワンダーシード2009」(トーキョーワンダーサイト渋谷 /東京)
2008 「TAKETO KOBAYASHI SOLO EXHIBITION」(space23℃ /東京)
2008 「THE NEXT」(Gallery Stump Kamakura /神奈川)
2006 「Ongoing Vol.05 ヨコハマエクトプラズム」(BANK ART Studio NYK /神奈川)
2004 「TAMA VIVANT 2004 たとえばの新しさ」(東京)(みなとみらい)
高3の冬から去年の夏まで僕の右肩は脱臼くせがあってよく外していたのだけれど、外したときほど体と腕のくっつきを強く感じたことはなかったと思う。
モノのように見えたその腕はいつもよりずっとしっかりと体にくっついているようで、痛いというよりはとても苦しい。
それにくらべて今の腕は前ならえして、力を抜けば自由にブラブラ動きはじめる。
とりあえず、考えずに何も描かれていないキャンバスに絵具をつける。
そうはいうものの、そのできごとの中にはたくさんの情報と思考と運動性が含まれている。
信じるということは同時に何かをあきらめてもいて、もちろん信じることで描こうとするのだけれどすぐに裏切られてしまうのでそう長くは続かない。
だから、何かを描こうとして絵を描くというよりは何かが起こる(現れる)まで描き続けてみる。
終わりが決まっていないから途方に暮れるけど、そういった着地を信じている。
どうしても誰かに自分の作品を展示してもらいたいと前から思っていて、今回河田さんにお願いした。
快く引き受けてくれて、だから僕は河田さんが選べるくらい作品をつくろうと思っています。
「FUKURA」
キャンバス、油彩/2013
「三人目 1」
キャンバス、油彩/2012
「三人目 2」
キャンバス、油彩/2012
「三人目 3」
キャンバス、油彩/2012