原良介は、2001年にトーキョーワンダーウォール大賞を受賞後、数々の展覧会を経て2009年東京オペラシティアートギャラリーにて個展、2012年茅ヶ崎美術館において「原良介 ─絵画への小径─」が開催され、近年注目すべきアーティストの一人です。
原良介とアートに関して話しをしていた時、「黒板に見たことのないような数式を書いてしまう」という言葉を原良介から聞きました。この言葉から、原良介の作品の特徴を窺い知ることができます。
原良介の絵を注意深く見ていると、描かれている草木や地面や人間という図像が、どれひとつとして他の図像を支配的に位置するようには存在していないことに気づかされるのです。
そこで生まれる世界は主観的につくられたものではなく、自律したものたちがぶつかり合い、結果何が生まれてくるかわからない不確定なものなのです。
まさに原良介は、画面上に「見たことのないような数式」を描こうとしているのです。
私たちを取り巻く自然は確定的ではなく、とても不確定なものであります。そして不確定であるからこそ、人間にはコントロールできない、人智を超えた存在を自然から知ることができるのです。
しかし私たち人間は、その当たり前すぎることを忘れて自然を確定的なものと思い込んでしまいます。
原良介の絵画は、古来、日本にある不確定さを受け入れる自然観をあぶり出すものなのです。今回の企画に際して、このような絵画を「天然」と名付けてみようと思います。
(ゲルオルタナ代表、美術家 栗原一成)
[主な個展]
2001「トーキョーワンダーウォール都庁2001」東京都庁第一本庁舎3階南側空中歩廊、東京
2002「原良介展」TOKYO WONDER SITE、東京
2005「原良介展」SPACE GALLERY、大阪
2006「SPROUT DRAWING」Yuka Sasahara Gallery、東京
2006「原良介展」SPACE GALLERY、大阪
2007「BYA A FOREST 原良介」Gallery Stump Kamakura、神奈川
2008「ゆらめき地平面」Yuka Sasahara Gallery、東京
2009「project N 36 原良介」東京オペラシティアートギャラリー、東京
2011 Yuka Sasahara Gallery、東京
2012「原良介ー絵画への小径ー」茅ヶ崎市美術館、神奈川
[主なグループ展]
1999「第17回上野の森美術館大賞展」上野の森美術館、東京、福岡市美術館、福岡
1999「スーパーライト」世田谷美術館区民ギャラリー、東京
2001「トーキョーワンダーウォール公募2001」東京都現代美術館、東京
2002「日本・韓国の絵画表現 − 新世代作家の今」新宿プロムナードギャラリー、東京
2004「トーキョーワンダーウォールの作家たち展2000~2003」東京都現代美術館、東京
2004「東京デザイナーズウィーク2004」台場コンテナグランド、東京
2006「百花繚乱」BOICE PLANNING、神奈川
2007「東京画-ささやかなワタシのニチジョウのフーケイ」トーキョーワンダーサイト渋谷、 東京
2010「3331 Arts Chiyoda グランドオープン記念展『3331 Presents TOKYO: Part1』3331 Arts Chiyoda 1階ギャラリー、東京
2011「未視感ハミング」ゲルオルタナ、東京
[受賞歴]
2001「トーキョーワンダーウォール公募2001」トーキョーワンダーウォール大賞受賞
[プロジェクト]
2012 「地域想像力増殖プロジェクト」神奈川県立寒川高等学校、茅ヶ崎市立中島中学校
2013 「地域想像力増殖プロジェクト」茅ヶ崎市立赤羽中学校、茅ヶ崎市立梅田中学校、寒川町立寒川東中学校
原良介 Ryosuke Hara
1975 神奈川県生まれ
2000 多摩美術大学美術学部卒業
2002 多摩美術大学大学院修了
2013-多摩美術大学美術学部絵画学科非常勤講師
「ぬけ」
2014 磁器 16.0×11.5×4.0cm
「nuke」ceramic
©Ryosuke Hara
「草木土」
2014 油彩、キャンバス 194.0×130.3cm
「somokudo」oil on canvas
©Ryosuke Hara